すごく、可愛い人を見たんだ


ほんとに、ほんとに可愛らしくて、びっくりして


名前、何ていうのかな


『エイちゃーんｖｖｖ』


…エイちゃん？


そうか、「エイちゃん」っていうんだね


可愛いね







９　エイちゃん







…あ、エイちゃんだ


どこに行くのかな、部活かな


何部なんだろう



次、講義なのかな、行っちゃった…


…また、エイちゃんが見たいな　ダメかな





講義、終わったんだ


もう、帰っちゃうの？


淋しいよ


エイちゃん　好き


もう少し、エイちゃんのこと　見てたい




まって　まって



…あ、目が合った


…ダメだ　それは恥ずかしい…


今日は　帰るね







エイちゃんって


いつも冴えない顔　してるよね


あんなに可愛いのに　もったいないな




今日はね　エイちゃんのステージを見に来たんだ


そしたらね


エイちゃんが　笑ってたんだ


ギター持ったエイちゃんは　とっても楽しそうで


回ったり　跳ねたり　ゆるゆるって　頭を振ったり　頷くみたいに　揺れてみたり


ほんとにギター好きなんだなって　思った


だけどね


みんな　エイちゃんのことが　大好きで


オレが　どんなにエイちゃんを好きでも


エイちゃんは　みんなのものでしかないって


オレの　エイちゃんには　ならないんだって


わかった






ごめんね　エイちゃん


エイちゃんに　触ってみたかった


一度で　いいから



きらわれても　いいから




――やっぱり　きらわれちゃったね


すごい　睨まれちゃった




『何とか、言えよっ！！』





ごめんね　エイちゃん


オレ、悪いこと　したよね





…なのに


どうして？


どうして　エイちゃんが謝るの？


どうしたの？


どうして　泣いてるの？




泣かないで


泣かないで　エイちゃん




オレ　居るから



エイちゃんが　泣き止むまで



エイちゃんが　落ち着くまで



居るから





ずっと






抱きしめるから

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